QiDian と QiDian Pro の違い
3F UL GEAR を代表するバックパックと言えば、QiDian シリーズになるでしょう。
お馴染みの圧倒的なコストパフォーマンスで、世界中の UL ハイカーからの注目を集め続けています。
そんな人気のバックパックですが、スタンダードの QiDian と、上級者向けの QiDian Pro の2つが存在しています。
どちらのモデルを選べば良い分からないという方に向けて、QiDianと QiDian Pro の違いを解説したいと思います。
スペックから見る違い
まずは、2つのモデルの基本的なスペックから見ていきましょう。
QiDian | QiDian Pro | |
タイプ | フレームレス | フレームレス |
本体重量 | 850g | 880g |
容量 | 40 + 16L | 40 + 16L |
最大荷重 | 12kg | 14kg |
本体素材 | ナイロン | UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)混紡ナイロン |
バックル素材 | Duraflex, YKK | Duraflex |
サイズ | 80 (H) x 30 (L) x 22 (W) cm | 80 (H) x 30 (L) x 22 (W) cm |
ヒップベルト | あり | あり |
背面パッド収納 | あり | あり |
カラー | グレー、グリーン、カーキ | グレー、グリーン、カーキ、ブラック |
3F UL GEAR には、より長距離のハイキングに特化した Yue というフレームありのモデルが存在しますが、QiDian シリーズは全てフレームなしのモデルになります。
また、バックパック本体の容量が 40L で、メッシュポケットの容量が 16L という点も QiDian と QiDian Pro は共通しています。
生地の違い
QiDian の記事は防水性のないナイロンになります。
一方の QiDian Pro は、完全防水の UHMWPE(Ultra-High Molecular Weight Polyethylene: 超高分子量ポリエチレン)混紡ナイロンになります。
QiDian に防水性を持たせるには、バックパックの内側でパックライナーを使用するか、バックパックの外側でザックカバーを使用する必要があります。
一方の QiDian Pro は、生地自体に防水性があるため追加の防水対策は必要ありません。
スペックだけを見ると、QiDian Pro の方が 30g ほど重いように見受けられますが、QiDian では必要となるパックライナーやザックカバーが QiDian Pro では要らない分、トータルでは QiDian Pro の方が軽量になります。
上記は QiDian Pro で使用されている UHMWPE 生地の拡大写真になります。
この生地は、別名では SPECTRA(スペクトラ)と呼ばれており、ダイニーマと同じ種類に属します。
名称については、生地の提供元が Honeywell 社なのか、Avient (旧DSM) 社なのか、それ以外なのかによって変わります。
X-PACなどと同じく、一見しただけで分かるグリッド状のパターンが特徴です。
ダイニーマに代表される UHMWPE は、軽量でありながら、非常に高い引き裂き強度を持ち、かつ防水性に優れています。
QiDian と QiDian Pro の価格差は、およそ 2,500 円ですが、この価格差で UHMWPE 素材が手に入ることは特筆すべき点ではないでしょうか。
背面パッド収納
QiDian と QiDian Pro には、フレームの代わりとなるクローズドセルマットを収納するスペースが背面部分にあります。
上記のようにマットをメッシュに収納したあとに、ベルトで固定する仕組みになっています。
自分の背中とバックパックの間にマットが存在することに対しては、好みの分かれるところかと思います。
バックパックをより背中に寄せたい方は、マットを丸めてバックパックの中に収納するやり方をお勧めします。
あくまで個人的な見解になりますが、180cm のフルサイズのクローズドセルマットをそのまま背面に収納すると、マットの厚みが大きいため、バックパックのフィット感が少しだけ弱い感覚があります。
これを解消するために、自分の場合はクローズドセルマットを 100cm 程度に短くカットして収納することで、折り畳んだ状態のマットを厚みを薄くするようにしています。
上記の写真ではマットを2つ折りにした状態で4層になっていますが、2〜3層が最もフィット感が得られる厚みかと思います。
内側のメッシュポケット
QiDian シリーズを語る上で忘れてはいけないのが、バックパック内部のメッシュポケットです。
シュラフなどの荷物を入れた際に、ちょうど気室を分けるフタのような役割を果たしてくれます。
このポケットに、モバイルバッテリーや貴重品などを収納しておくことで、すぐに取り出すことができます。
これも個人的な使い方になりますが、自分はこのメッシュポケットをバックパック内部の仕切りとして使い、ポケットより下をシュラフなど停滞時にしか使わないもの、ポケットより上を食料袋やレインウェアなど行動中に使うものを収納するようにしています。
まとめ
QiDian と QiDian Pro は、使われている生地以外はほぼ同じスペックになります。
それぞれのバックパックについて、まとめると以下のようになります。
QiDian が向いている人
・価格を少しでも抑えたい
・すでにパックライナーやザックカバーを持っているので完全防水でなくとも良い
・バックパック単体でより軽いものが欲しい
QiDian Pro が向いている人
・UHMWPE 生地に興味がある
・完全防水のバックパックが良い
・引き裂き強度を含めた耐久性を重視したい
最後に、もう1つの考え方としてステップアップというものがあります。
UL バックパックの購入を検討される方は、既にバックパックを1つ所有されていることが多いです。
なので、まずは手持ちのパックライナーやザックカバーを流用できる QiDian から初めて、経験値がアップしたところでパックライナーやザックカバーを必要としない完全防水の QiDian Pro にステップアップという形です。
高価なバックパックであれば、なかなか難しい選択肢もコストパフォーマンスに優れる QiDian シリーズであれば、実現できてしまいます。
みなさんも QiDian / QiDian 1 Pro で UL ハイキングをデビューされてみては、いかがでしょうか。
ハッピートレイルライフを!