防災とULギア
まずは、能登半島震災に遭われた方に対して、心よりお悔やみを申し上げます。
自分自身も、1995年に阪神・淡路大震災を経験しており、自然の怖さを身をもって体験したのみならず、それ以降、防災については事あるごとに考えるようになりました。
日本は、いわずもなが自然災害大国です。
以前、話を聞きに伺ったことがある東京大学名誉教授の養老孟司さんも、「土地の面積あたりの自然災害の発生率は、日本が世界の中でも突出している。その事実を前提に日本人は生活すべき。」とおっしゃっていました。
日本は、小さな島国であるにも関わらず、噴火や地震がいたる所で起きており、さらに周りを海で囲われているがゆえに津波による災害からも逃れられません。
自分は十数年前にキャンプを始めたことがきっかけで、アウトドアの世界に入っていきました。
いま、キャンプ・登山用品の業界ではどのメーカーも、防災用途としてのギアの提案に力を入れています。
災害発生時にテントなどを貸し出す、モンベルの「アウトドア義援隊」の活動も有名です。
使わなくなったギアに防災用途の光を当てる
ULハイキングを始めて数年経つと、より軽いもの、より自分のスタイルに合ったものへと道具を買い替えていくことになります。
そうすると、まだまだ使えるのに一軍から退いてしまったギア、というものが出てきます。
そういった「まだまだ使えるギア」たちに、防災用途の光を当ててみるのはいかがでしょうか。
自分は、使わなくなったバックパックに防災グッズを入れて、いざという時に備えるようにしています。
これは、数年前に買ったデカトロンのバックパックで、容量は50L、重さは1.7kgです。
けっしてULとは言えないですが、どこも傷んでおらず、まだまだ現役で使えるバックパックです。
今はもっと軽量なバックパックをメインに使っているので、使わなくなったバックパックに各種の防災グッズを入れて、いつでも持ち出せるようにしています。
バックパックに入れている防災用品
実際にバックパックの中身を展開してみました。
中に入れている防災グッズは、こんな感じです。
Category | Brand | Product |
バックパック | DECATHLON | FORCLAZ 50 |
ストーブ | ダイソー | アルコールストーブ |
固形燃料 | 富士見産業 | ストーブ用燃料 |
固形燃料 | ニチネン | 屋外用トップ丸缶 |
着火器具 | Unknown | メタルマッチ |
着火器具 | Unknown | ライター |
着火器具 | Unknown | マッチ |
マルチツール | ダイソー | 11機能マルチツール |
ランタン | コールマン | ハンギングEライト |
五徳 | EVERNEW | チタンゴトク |
USBケーブル | Unknown | USB-TypeCケーブル |
スポーク | モンベル | フォールディング スポーク |
水 | Unknown | 1.5L |
トイレ | クリロン化成 | BOS非常用トイレセット |
ソーラーパネル | RAVPower | ソーラーチャージャー Type-A 2ポート |
ウォーターキャリー | Unknown | 2L |
サバイバルシート | ELUTENG | サバイバルシート 笛つき |
寝袋 | Naturehike | 3シーズンシュラフ |
雨具 | Unknown | レインコート |
食材 | アイリスオーヤマ | アルファ米 10食分 |
食材 | アイリスオーヤマ | おかゆ 4食分 |
食材 | 大塚製薬 | カロリーメイト 5個 |
食材 | 森永乳業 | チューブ練乳 |
食材 | 川商フーズ | ノザキ コンビーフ |
その他 | Unknown | 常備薬、応急措置セット |
その他 | Unknown | ビニール袋 |
その他 | Unknown | 貴重品、身分証明証、通帳など |
いずれもハイキング、登山、キャンプ用に買ったギアで、今は使わなくなったものばかりです。
新たに買い足したものといえば、食材くらいでしょうか。
いつもは、このセットに加えて浄水器(SAWYER MINI)もバックパックに入れています。
幸いにも日本は、どこで被災しても水へのアクセスは良好なので、ひとまず1.5Lの水だけバックパックに入れて、追加の水は浄水して作るという形にしています。
この辺りは、ハイカーの考え方と同じです。
燃焼については、ニチネンの大型固形燃料が定番です。
これで数日分の燃料は問題なく確保できます。予備で小さな固形燃料も入れています。
アルコールストーブ本体があるのに、アルコール燃料がないのは、燃料自体はドラッグストアなどで比較的簡単に手に入るためです。
着火器具は、あらゆる条件で火が起こせるように、ライター、マッチ、メタルマッチの3種類を入れています。
これらの防災グッズを全て入れた状態でのパックウェイトは 9.9kg でした。
さすがに防災グッズはウルトラライトという訳にはいかないですが、このバックパック1つで、ある程度の災害対策ができると考えれば決して重くないと思います。
手持ちのギアを見直してみよう
みなさんの手持ちにも、このように今は使わなくなったけど、防災用途として使えるULギアは沢山あるかと思います。
そして、思った以上にULギアは丈夫です。
自分は、以前に防災用に安価なバックパックを買ったことがあるのですが、10kg程度の荷物を入れたらハーネスの一部が剥がれてしまいました。
そもそもトレイルや山で使うことを想定しているULギアの方が、圧倒的に丈夫で長持ちするのだと、改めて気付かされました。
いつ起きるか分からない自然災害。
自分や家族のためにもそうですが、ひょっとしたら、自分のギアが他人の命を助けることになるかもしれません。
備えあれば憂いなし、です。
やや言い過ぎかもしれませんが、自然災害大国である日本に住む私たちは、全員、バックパック1つで生きられるだけの知識と経験を持って然るべきで、それを世界に向けて発信する側の立場なのかもしれません。