- 店主コメント
- スペック
- ブランド
店主コメント
2023年にリリースされたULギアで、最も物議を醸し出した製品は、間違いなくこの Yunchuan になるでしょう。
この製品の特徴に入る前に、SNSやネット上の情報での誤解が多いため、少しだけ歴史の話を。
2本のトレッキングポールを前後左右に非対称に配置するタイプのテントは、「オフセット型」または「アシンメトリー型」と呼ばれます。
このタイプのテントのパイオニアは Durston Gear の X-MID だと思われていますが、実はそうではありません。
2016年にアメリカ・カリフォルニアを拠点とする Sierra Designs が High Route というオフセット型テントをリリースしています。
それを追う形で、同じくアメリカ・カリフォルニアを拠点とする Tarptent から StratoSpire というオフセット型テントが発売。
Durston Gear の X-MID は、広く認知されているオフセット型テントとしては第3世代ということになります。
X-MIDとの比較
ASTA GEAR の Yunchuan は、一見すると X-MID に形状が似ていますが、実際に使ってみると細部がかなり異なることに気づきます。
まず、アウターテントのジッパー。
X-MID はシングルスライダーですが、Yunchuan はダブルスライダーを採用。
雨天時に、テントの中から外の様子を確認したい場合など、シングルスライダーでは下から上までジッパーを開け切らないと外の様子を見ることはできませんが、ダブルスライダーを採用する Yunchuan であれば、上部のスライダーを少しだけ開けるだけで外の様子を確認することができます。
ダブルジッパーは、雨が降る頻度が高い日本ではかなり重宝されますが、そのためか国産テントにしかあまり見られません。
このあたりは、中国を拠点とするASTA GEARの方が、日本を含むアジアの高温多湿の気候をよく把握しているように感じられます。
次にインナーテント。
X-MID では、3シーズン用フルメッシュのモデルと4シーズン用ナイロン生地のモデルが、それぞれ別の製品として扱われており、後からインナーテントだけを交換することはできません。
従って、オールシーズンで使う場合は、2つのテントを購入することが前提となってきます。
一方の Yunchuan は、3シーズン用インナーテントと4シーズン用インナーテントがそれぞれ単品で購入できるため、後からインナーテントだけを交換することで、1つのアウターテントをオールシーズンで使い続けることが可能になっています。
インターテントが交換できるというユーザーフレンドリーな考え方は、同じ中国メーカーの 3F UL GEAR Lanshan シリーズにも通じるところがあります。
最後に、テントのサイズについて。
Yunchuan の方が、X-MID よりも、わずかながら大きいサイズになります。
しかし、この「わずかな差」がハイカーが感じる快適性に違いをもたらします。
X-MID 1 のインナーテントの高さが 117cm であるのに対し、Yunchuan 1 の高さは 125cm になります。
120cm 以下のインナーテントの高さは、人によっては頭上の空間の狭さを感じることもあります。
一方の Yunchuan 1 の 125cm という高さは、X-MID 1 に対して 8cm ほど高さが増しただけですが、これは想像以上に頭上の空間に対して広さを感じます。
また、フロアの幅も X-MID 1 が 79cm であるのに対し、Yunchuan 1 の幅は 81cm になります。
これも、2cmというわずかな差であるものの、Yunchuan 1 の方が広いサイズを持っています。
シーム処理について
工場出荷後の状態では、Yunchuan のアウターテントはシーム処理がされていません。
以前は、ユーザー自身でシーム処理を行うためのシームグリップ剤が付属していましたが、近年、同薬剤の関税手続きがやや複雑になったことを受けて、現在は付属しなくなりました。
シーム処理を行う場合は、別途、ご自身でシームグリップ剤をお買い求めのうえ、必要箇所に塗布してください。
あくまで個人的な見解になりますが、Yunchuan についてはダブルウォールで、かつアウターテントとインナーテントの間隔が十分に保たれているため、基本的にはシーム処理は不要と考えています。
それでも雨漏り対策を行いたい方は、アウターテントの頂点部分(リッジライン)のみシーム処理をして頂ければ大丈夫かと思います。
実はユニークな存在
こういった数々の差別化が行われているにも関わらず、Yunchuan を X-MID のオマージュ品だと一言で片付けてしまうのは、いささか勿体無い気がしています。
そして何より、Yunchuan シリーズが持つ高いコストパフォーマンスは、これから UL ハイキングを始めるハイカーにとっては、まさに最適なテントの1つだと断言できます。
自分のスキルや経験値アップに合わせて、将来、同じ形状のダイニーマ製テントに変えるもよし。
オフセット型テントの歴史を作ってきた先人へのリスペクトを含めて、後から Sierra Designs / Tarptent / Durston Gear に切り替えるもよし。
コスパの高い UL ギアを提案することを使命としている Hikershop では、高価格な製品だけでなく、あらゆる層のハイカーに対して最適な製品の選択肢が提示されるべき、と考えています。
詳しい仕様などは「スペック」タブに記載していますので、そちらもご覧ください。
本体重量
Yunchuan 1:フライ 540g、インナー 440g
Yunchuan 2:フライ 570g、インナー 540g
総重量
Yunchuan 1:1,100g
Yunchuan 2:1,250g
フライ素材
15D 両面シルナイロン 耐水圧 5,000mm
インナー素材
4シーズン:20D ナイロン+20Dナイロンメッシュ
3シーズン:20D ナイロンメッシュ
フロア素材
20D シルナイロン 耐水圧 5,000mm
アウターサイズ
Yunchuan 1:249 (L) x 162 (W) x 135 (H) cm
Yunchuan 2:210 (L) x 254 (W) x 135 (H) cm
※推奨されるポールの長さ:120~125 cm x 2本
インナーサイズ(有効面積)
Yunchuan 1:228 (L) x 81 (W) cm
Yunchuan 2:233 (L) x 132 (W) cm
高品質なテント・バックパックを開発する、中国のメーカー。Wildernessをこよなく愛するハイカー達によって、2010年に設立される。
ギアを通じて自然とつながることをミッションに掲げ、そのミッションを達成するために、デザイン・設計・製造などの主要部門を全て自社内で持つ。
ASTAは中国語で「星(Star)」を意味する。
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Yunchuan
¥24,000 – ¥30,000
2023年に最も話題となったオフセット型ULテント。インナーテントを交換することで、オールシーズン使用可能。
- 店主コメント
- スペック
- ブランド
店主コメント
2023年にリリースされたULギアで、最も物議を醸し出した製品は、間違いなくこの Yunchuan になるでしょう。
この製品の特徴に入る前に、SNSやネット上の情報での誤解が多いため、少しだけ歴史の話を。
2本のトレッキングポールを前後左右に非対称に配置するタイプのテントは、「オフセット型」または「アシンメトリー型」と呼ばれます。
このタイプのテントのパイオニアは Durston Gear の X-MID だと思われていますが、実はそうではありません。
2016年にアメリカ・カリフォルニアを拠点とする Sierra Designs が High Route というオフセット型テントをリリースしています。
それを追う形で、同じくアメリカ・カリフォルニアを拠点とする Tarptent から StratoSpire というオフセット型テントが発売。
Durston Gear の X-MID は、広く認知されているオフセット型テントとしては第3世代ということになります。
X-MIDとの比較
ASTA GEAR の Yunchuan は、一見すると X-MID に形状が似ていますが、実際に使ってみると細部がかなり異なることに気づきます。
まず、アウターテントのジッパー。
X-MID はシングルスライダーですが、Yunchuan はダブルスライダーを採用。
雨天時に、テントの中から外の様子を確認したい場合など、シングルスライダーでは下から上までジッパーを開け切らないと外の様子を見ることはできませんが、ダブルスライダーを採用する Yunchuan であれば、上部のスライダーを少しだけ開けるだけで外の様子を確認することができます。
ダブルジッパーは、雨が降る頻度が高い日本ではかなり重宝されますが、そのためか国産テントにしかあまり見られません。
このあたりは、中国を拠点とするASTA GEARの方が、日本を含むアジアの高温多湿の気候をよく把握しているように感じられます。
次にインナーテント。
X-MID では、3シーズン用フルメッシュのモデルと4シーズン用ナイロン生地のモデルが、それぞれ別の製品として扱われており、後からインナーテントだけを交換することはできません。
従って、オールシーズンで使う場合は、2つのテントを購入することが前提となってきます。
一方の Yunchuan は、3シーズン用インナーテントと4シーズン用インナーテントがそれぞれ単品で購入できるため、後からインナーテントだけを交換することで、1つのアウターテントをオールシーズンで使い続けることが可能になっています。
インターテントが交換できるというユーザーフレンドリーな考え方は、同じ中国メーカーの 3F UL GEAR Lanshan シリーズにも通じるところがあります。
最後に、テントのサイズについて。
Yunchuan の方が、X-MID よりも、わずかながら大きいサイズになります。
しかし、この「わずかな差」がハイカーが感じる快適性に違いをもたらします。
X-MID 1 のインナーテントの高さが 117cm であるのに対し、Yunchuan 1 の高さは 125cm になります。
120cm 以下のインナーテントの高さは、人によっては頭上の空間の狭さを感じることもあります。
一方の Yunchuan 1 の 125cm という高さは、X-MID 1 に対して 8cm ほど高さが増しただけですが、これは想像以上に頭上の空間に対して広さを感じます。
また、フロアの幅も X-MID 1 が 79cm であるのに対し、Yunchuan 1 の幅は 81cm になります。
これも、2cmというわずかな差であるものの、Yunchuan 1 の方が広いサイズを持っています。
シーム処理について
工場出荷後の状態では、Yunchuan のアウターテントはシーム処理がされていません。
以前は、ユーザー自身でシーム処理を行うためのシームグリップ剤が付属していましたが、近年、同薬剤の関税手続きがやや複雑になったことを受けて、現在は付属しなくなりました。
シーム処理を行う場合は、別途、ご自身でシームグリップ剤をお買い求めのうえ、必要箇所に塗布してください。
あくまで個人的な見解になりますが、Yunchuan についてはダブルウォールで、かつアウターテントとインナーテントの間隔が十分に保たれているため、基本的にはシーム処理は不要と考えています。
それでも雨漏り対策を行いたい方は、アウターテントの頂点部分(リッジライン)のみシーム処理をして頂ければ大丈夫かと思います。
実はユニークな存在
こういった数々の差別化が行われているにも関わらず、Yunchuan を X-MID のオマージュ品だと一言で片付けてしまうのは、いささか勿体無い気がしています。
そして何より、Yunchuan シリーズが持つ高いコストパフォーマンスは、これから UL ハイキングを始めるハイカーにとっては、まさに最適なテントの1つだと断言できます。
自分のスキルや経験値アップに合わせて、将来、同じ形状のダイニーマ製テントに変えるもよし。
オフセット型テントの歴史を作ってきた先人へのリスペクトを含めて、後から Sierra Designs / Tarptent / Durston Gear に切り替えるもよし。
コスパの高い UL ギアを提案することを使命としている Hikershop では、高価格な製品だけでなく、あらゆる層のハイカーに対して最適な製品の選択肢が提示されるべき、と考えています。
詳しい仕様などは「スペック」タブに記載していますので、そちらもご覧ください。
本体重量
Yunchuan 1:フライ 540g、インナー 440g
Yunchuan 2:フライ 570g、インナー 540g
総重量
Yunchuan 1:1,100g
Yunchuan 2:1,250g
フライ素材
15D 両面シルナイロン 耐水圧 5,000mm
インナー素材
4シーズン:20D ナイロン+20Dナイロンメッシュ
3シーズン:20D ナイロンメッシュ
フロア素材
20D シルナイロン 耐水圧 5,000mm
アウターサイズ
Yunchuan 1:249 (L) x 162 (W) x 135 (H) cm
Yunchuan 2:210 (L) x 254 (W) x 135 (H) cm
※推奨されるポールの長さ:120~125 cm x 2本
インナーサイズ(有効面積)
Yunchuan 1:228 (L) x 81 (W) cm
Yunchuan 2:233 (L) x 132 (W) cm
高品質なテント・バックパックを開発する、中国のメーカー。Wildernessをこよなく愛するハイカー達によって、2010年に設立される。
ギアを通じて自然とつながることをミッションに掲げ、そのミッションを達成するために、デザイン・設計・製造などの主要部門を全て自社内で持つ。
ASTAは中国語で「星(Star)」を意味する。